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北國銀２期ぶり増収減益 １９年９月中間期決算 本業益も前年割れ
北國銀行の２０１９年９月中間期決算は単体で２期ぶりの増収減益となり、本業のもうけを示すコア業務純益が２期連続で前年同期を下回った。有価証券売却益などで経常収益は伸びた一方、日銀のマイナス金利政策の長期化で利ざや縮小が続き、不良債権処理コストの増加も響いた。７日、金沢市の本店で会見した安宅建樹頭取は「当初の計画は何とか達成できたが、厳しい状況が続いている」と述べ、中期経営計画の見直しで収益改善に取り組む考えを示した。
貸出金利息は前年同期比１億円増の１３１億円、外債を圧縮した有価証券利息配当金が１５億円減の５５億円で、銀行収入の柱である資金利益は１０億円減の１７５億円となった。
役務取引等利益はデビットカード事業などが順調に推移したものの、住宅ローンの手数料収入が申し込み減少で伸びず、７４００万円減の２７億円だった。物件費は新システムの投資に要する費用を計上して３億円増えた。
有価証券関係損益は株式、債券とも売却益が増加して前年同期を４８億円上回った。その一方、事業性融資で一部取引先の債務者区分をランクダウンしたことに伴い不良債権処理額が１０億円から４８億円に膨らみ、経常、最終の各利益を下押しした。
債務者区分の引き下げについて「従来から経営支援しているが、黒字化の見通しが立たない老舗企業が中心だ」と述べ、米中貿易摩擦に伴う経済減速が直接的に影響したケースは現時点でないと説明した。ただ今後、米中摩擦が地域経済に及ぼすリスクは高まっているとし、「しっかりと取引先と相談しながら対応したい」と語った。
９月末時点の貸出金残高は前年同期比８５３億円増の２兆５５６３億円。中小企業等向けは１２９３億円増えた。貸し出しの県別の増加率は石川が１・４％、富山が１０・０％、福井が２２・６％となった。貸出金利回りは１・０３％で、３月末の１・０６％から低下した。
安宅頭取は、昨年８月に営業を始めた越前市の丹南支店が前年同期に比べて５０％ほど伸びるなど福井で順調に実績を積み上げているとし、「金利競争ではなく、コンサルティングなどで地道に顧客の課題解決に努める」と強調。富山県内のシェアも１１％程度で北陸、富山第一に次いで３位につけており、安宅頭取は「北陸銀行さんに少しでも追いつき、北陸のトップバンクになれるよう頑張っていきたい」と述べた。
９月末の預金残高は前年同期比９８６億円増の３兆６０４７億円だった。個人預金を中心に増やし、積み立て投資信託の契約件数も伸ばし、個人預かり資産残高は２兆７０２４億円で、３月末から２９８億円多くなった。
連結自己資本比率（国際統一基準）は１１・９２％で、３月末の１１・７８％から上昇。金融再生法に基づく不良債権比率は２・１４％（３月末２・１３％）だった。
通期は減益を見込むものの、経常利益、コア業務純益の見通しを当初より引き上げた。配当は中間、期末とも３５円（年７０円）とした。